タリバン支配下のアフガニスタンにおける
医師・研究者への支援のお願い

≫尾崎章彦、ときわ会常磐病院                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                       

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医療ガバナンス研究所で活動させていただいている医師の尾崎章彦と申します。今回筆を取らせていただいたのは、日頃一緒に仕事をしているアフガニスタンの医師や研究者に支援をお願いしたいからです。もちろん、そのきっかけは、2021年8月に、タリバンがアフガニスタンを再び掌握したことです。

 

筆者がアフガニスタンの研究者らと仕事をするようになったのは、2020年です。信頼するネパール人の友人医師から、アフガニスタンの首都カブールに位置するカテブ大学のサイード・モサビ教授とその同僚らをご紹介いただきました。モサビ教授は感染症学を専門とする研究者であり、筆者のネパール人の友人を介して、新型コロナウイルス感染症に関して実施した調査研究の論文化を手伝って欲しいという依頼をいただきました。その調査は、アフガニスタンの住民が新型コロナウイルス感染症をどのように捉えているか、また、どのように感染対策を実施しているか評価したものでした。その後、筆者を中心に、このテーマに興味を持つ医療ガバナンス研究所の有志の研究者で支援を行い、災害専門誌であるDisaster Medicine and Public Health Preparednessに、発表することができました(https://www.cambridge.org/core/journals/disaster-medicine-and-public-health-preparedness/article/community-behavioral-and-perceived-responses-in-the-covid19-outbreak-in-afghanistan-a-crosssectional-study/5EEB7D0507C0E98F2B20E84E74D44D31)。この調査をきっかけに継続的にやり取りをする関係性となり、モサビ教授とは合計で3本の論文を発表しています。

 

このような活動を続ける中で、モサビ教授の同僚の方々とも仕事をする機会に恵まれました。中でも印象深かったのが、医学生のショーラ・ケダリさんです。彼女はアフガニスタンで生まれ育った後、抜群の成績を修め奨学金を得て、イランのテヘランにあるシャヒドベヘシティ医科大学に進学した才女です(2022年卒業見込み)。並行してカテブ大学にも籍を置き、モサビ教授の元で様々な調査を行っていました。

 

彼女はとりわけ女性の健康に関心を持っており、将来は産婦人科医となってアフガニスタンに戻り、女性の健康に貢献することを目指していました。実際、自身の関心に基づき、彼女は、アフガニスタンの子宮頸がん患者さんの受診契機について評価し、論文として発表しています(https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/frph.2021.783271/abstract)。それによると、多くの子宮頸がん患者が、症状自覚後1年近く医療機関を受診していなかったことが明らかとなっており、子宮頸がんの症状についてさらに啓発を進めることが重要であることがわかりました。

 

しかし、今回のタリバンの帰還により、彼女の計画は暗礁に乗り上げています。例えば、タリバンのカブール掌握後、彼女は、タリバン政権下で、母子保健が深刻な危機に陥る可能性を憂い、Natureに、「アフガニスタン:タリバンの帰還が母体の健康を脅かす」というタイトルの論文を発表しました(https://www.nature.com/articles/d41586-021-02551-1)。すると、論文が発表された2021年9月21日より、WhatsAppやMessengerを介して、タリバン構成員から、彼女に、アフガニスタン国内の大学の名前を使わないように警告のメッセージが届くようになりました。そこで、彼女は、Natureに、論文の自身の所属からカテブ大学を削除するように依頼、所属が実際に削除された9月24日以降、タリバンからの警告は止まったとのことでした。タリバンが、国内からの批判に極めて敏感になっていることがわかります。

 

そして、この例からも、タリバン政権下において、アフガニスタン国内で女性の権利や健康の向上を訴える活動を行うことが極めて困難であることがお分かりいただけるかと思います。

このような困難な状況の中でショーラさんが現在考えているのは、自身のスキルをできる限り磨くことです。その一環として、彼女はハーバード大学メディカルスクールが主催する研究ワークショップ「 Global Clinical Scholars Research Training 2022-2023」への参加を希望しています。すでに彼女は選抜プロセスを突破し参加を許可されていますが、学費免除の依頼にも関わらず、6950米ドル(約79万円)の支払いを求められています。

 

そこで、不躾なお願いですが、もし彼女の活動にご賛同いただけましたら、ハーバード大学において彼女が勉強するための費用のいくばくかについてご支援をお願いすることはできないでしょうか。筆者は、彼女が将来アフガニスタンに戻って、多くの女性の健康に貢献すると確信しています。そして、彼女を信じて筆者も支援を行うつもりです。皆様におかれましても、どうか温かいご支援をお願いいたします。また、もし想定よりも多くのご支援をいただけた場合、他のアフガニスタンの医師や研究者を支援するためにもその寄付を使用してまいりたいと考えています。

 

御支援をいただける場合、医療ガバナンス研究所の寄付申込フォームに入力いただき、以下の口座にお振り込みお願いいたします。なお、通信欄には、「ショーラさん寄付」など、この目的のために振り込まれたことがわかるよう記載いただけますと幸いです。

 

 銀行名:楽天銀行(銀行番号0036)

 支店名:第一営業支店(支店番号251)

 名義:特定非営利活動法人医療ガバナンス研究所

 カタカナ:トクヒ)イリョウガバナンスケンキュウショ

 口座番号:普通 7623914

 

最後に、お時間が許しましたら、彼女からのメッセージについてもお読みいただければ幸いです。

≫ショーラ・ケダリ「ご支援のお願い」

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私は、かつてタリバンがアフガニスタンを統治していた1997年に、アフガニスタン北部(バルク)の大家族の5番目の娘として生まれました。その後、タリバンの支配が2001年に終焉し、初めて、私を含む女子生徒は、学校への通学を許可されることになりました。性別に基づく不平等や差別が文化や歴史に深く根ざして存在するアフガニスタンにあり、私は、徐々に、女性や少女の健康が軽視されていることに気づくようになりました。そのため、学生時代から、女性のエンパワーメント、リーダーシップ、健康、そして、意識向上のために、懸命に努力してきました。

 

また、勉学についても絶え間ない研鑽を続け、全国統一大学入学試験Kankorにおいてはその年の1位を獲得することができました。アフガニスタンにおいては、私の母が私を出産したときもそうでしたが、特に地方の女性は、医療サービスをほとんど受けられない過酷な状況で出産を強いられています。このことから、私は産婦人科医となるべく、医学の道を選びました。

 

また、私は、アフガニスタンの保健医療サービスを改善する手段として、研究活動についても強い関心を持ってきました。そのため、アフガニスタンのカブールにある研究型私立大学の草分け的存在であるカテブ大学の門を叩き、研究助手としても働き始めました。そこでは、アフガニスタンにおける弱者、すなわち、特に女性と少女の健康上の不公平に対処することを目指して、研究活動を実施してきました。そして、研究成果を医学ジャーナルに発表するとともに、アフガニスタンの住民にフィードバックすることができた時、自身の努力が報われつつあるという喜びを感じることができました。

 

しかし、タリバン政権が誕生した直後、米国はアフガニスタン中央銀行の資産を凍結することを決定しました。また、米国をはじめとする各国政府や国際通貨基金、世界銀行も、アフガニスタンへの金融支援の停止を決定しました。経済的困窮と貧困は指数関数的に増大し、食料を確保するために家財道具を売る人や、従業員の給料が数ヶ月間支払われていない方々も相次いでいます。 私も例外ではありません。私の家族、経済的支援者、そして私も収入を失い、多くの困難に直面しています。

 

このような困難にも関わらず、もし許されるのであれば、私は、より良い教育を受け、アフガニスタンの国民に貢献するという子供時代からの目標を追い続けることができればと考えています。短期的には、ハーバード・メディカル・スクールのワークショップ(グローバル・クリニカル・スカラーズ・リサーチ・トレーニング2022-2023年プログラム)に参加し、アフガニスタンの方々のために貢献するため、自らのスキルをさらに高めることを希望しています。日本の方々に、どうか私の熱意をご支援いただきたいと考えています。