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インターン

医療ガバナンス研究所の目標は、世界と戦える若い人材を育てることです。

私たちは、医学生に限らず、あらゆる若者をインターンとして受け入れ、患者中心の思考を養成するためのプログラムを、それぞれのニーズやキャラクターに合わせて個別に提供しています。彼らにコミットし、現場での経験を通して、成長を促します。

また、特に医学生においては、医師としてのスキルを醸成するために研究活動を重視しています。

ぜひ私たちと世界の舞台で切磋琢磨しませんか。

佐賀大学 医学部医学科四年

中橋 高帆

飛び込みインターン生の奮闘記

1.    医療ガバナンス研究所に来たきっかけ
 私が医療ガバナンス研究所でインターンをさせていただくことになったきっかけは、研究所のホームページを拝見したことです。しかも、インターンのページをいつの間にかブックマークしていました。これはインターンに実際に申し込むはるか前、おそらく大学1年生のころに行ったものと思われます。当時の私は友人の影響で、インターンというものに関心がありました。そこで地元の県議会議員の先生にFacebookでご連絡を差し上げるも、「現在は募集していません」とのことで別の当てを探し始めました。その過程で研究所のホームページと出会い、ブックマークしたのだと思います。
 実際に応募したのは、昨年10月、春休みをどう過ごそうか思案していた時でした。これまでの大学の春休みは多くの時間を鉄道旅行に費やしてきましたが、今年は何か新鮮な体験をしたいと思い、再びインターンのことが頭に浮かびました。比較検討した上で最終的にこちらに決めた理由はどのような方々がいらっしゃるのかが比較的明確であったからです。インターンの体験記をお読みしても様々な学生の方がいらっしゃり、開かれた雰囲気も感じました。応募には勇気が必要でしたが、試験直後の解放感に身を任せて応募させていただきました。

2.    医療ガバナンス研究所でのインターンの出来事や思い出
 最も印象に残っている出来事は、初日の夜の会食です。この日は、理事長の上昌広先生と、成田市に関係する方々との集まりでした。私はあまりの浅学ぶりにインターン中毎日のように上先生から「まだまだいっぱい勉強しないといけないねえ」と言われたものでしたが、この日の会食で飛び交った単語(※)は半分以上が初めてお伺いするものでした。あまりに衝撃的だったことを鮮明に記憶しております。

 

 ※参考までにその日の検索履歴の一部を以下に列挙させていただきます。
  瀬島龍三、岡野俊一郎、紀尾井坂、鳥越俊太郎、加賀乙彦、おきや、塩崎潤、

  石田三成、石井健一、林芙美子 放浪記、如水庵、肥後もっこす、井伊直政、

  船井総研、江藤新平 首 写真、明治維新 佐賀 法務大臣、児島惟謙、

  伊達藩 イネ、もく星号墜落事故、稲盛和夫、重信房子、熊野寮、

  加藤登紀子(敬称略)

                  思い出に残っているのは研究所での何気ない時間です。お昼ご飯は出前を取っていただいた

                 り、台所で皆さんと作ったりして楽しくいただきました。長机に先生方も含めて集まっていた

                 だくのは、小学校の給食を思い出すようで懐かしい気持ちになりました。また、秘書の方々に

                 はとても親切にしていただきました。研究所の壁に掛けられた絵について尋ねると、作者の方

                 や展覧会の情報について、詳しく教えていただきました。インターン中の予定についても柔軟

                 に対応していただき、「無理してない?大丈夫?」と温かいお言葉が大変嬉しかったです。

 

3.    医療ガバナンス研究所での活動
 
インターン中の活動は一言でうと「体験する、調べる、書く」これらの繰り返しでした。

それぞれについて説明いたします。
 まず、「体験する」では、これまでお会いしたことがないような方々との面会・会食や異郷への訪問の機会をいただきました。たとえば、政治家の方や自衛隊の方、五輪メダリストの方、ほかにも多くの経営者の方々とお会いしました。また、成田市や福島市、いわき市を初めて訪問させていただきました。
 次に、「調べる」では、前もってお会いする方のご経歴を調べたり、ご著書を読んだりしました。他にもお伺いする土地の歴史について調べたり、会話の中で知らなかった言葉について調べたりしました。お話の中で自分のルーツである佐賀や母校について知らないことが多いと気付かされ、それらについても歴史や経済など様々な角度から深掘りしました。
最後に、「書く」では上記のように体験したり調べたりしたことを文章にまとめ、発信させていただきました。日々のFacebookでの活動報告をはじめ、福島を訪ねた経験については新聞に投稿いたしました。

4.    医療ガバナンス研究所で学んだこと

 約1ヶ月間、「体験する、調べる、書く」を繰り返し、多くの学びを得ることができました。以下に記述いたします。

1.)歴史を学ぶこと
 インターン前は歴史を学ぶことに対してつまらないと思っていました。

 それは、現在と過去を切り離して考えていたからだと思います。

 しかし、現在に残る痕跡から辿り歴史を学ぶことで過去と現在の間に

つながりを見出すことができ楽しく感じました。
 たとえば、研究所近くにある高輪大木戸。江戸時代、江戸の南の入り口

として治安維持と交通規制の役割を果たしていました。再開発真っ只中の

今、側を行き交うのは通勤客ばかりですが、かつてこの周辺は旅人やその

送迎客で賑わったそうです。再開発によって高輪の歴史が注目され、再び

観光客で賑わう様子を想像するとわくわくしました。

 

2.ファクトを基に思考すること
 インターン中、新聞や雑誌に投稿させていただく文章を書く機会が複数ありました。その際、上先生には「ファクトをベースに議論する」ことをご指導いただきました。福島を訪問した経験を文章にしたことがありましたが、現地のどなたがどんなことをおっしゃっていたか、具体的なエピソードから自分が伝えたいメッセージを導きました。そして、思考する際には自分の引き出しを増やすために幅広く学ぶこと、自分を形作る地元の歴史などのルーツについて深掘りすることが重要だと学びました。これらがないと一般論に終始してしまいます。「国なんてものはない」と上先生はよくおっしゃっていました。「国」ではなく、突き詰めれば「人」がいるということです。大きな主語を使うのではなく、具体化することでものごとを整理して認識できると思いました。私も大きな団体名を主語に使い現状を憂えることがあったと反省しました。

 

3.)人とのご縁を大切にすること
 インターン中、お会いした方には必ずお礼のメッセージを送ることをご指導いただきました。お忙しい中メッセージに目を通していただき大変恐縮でしたが、どのお方も「がんばってください」、「何かあればいつでも言ってください」と暖かい言葉をかけてくださいました。
 実際上先生もこれを徹底されているそうで、インターン中にお会いした方が上先生について「一回パネルディスカッションでお会いしただけなのにメールをくださった」と語られていました。インターン中様々なエピソードをお伺いしましたが、東日本大震災の際に行われた透析患者のバス輸送など、人のご縁なくしては成し遂げられなかったことばかりだと思いました。

 

5.    医療ガバナンス研究所でのインターンを考えている学生に一言
 インターン期間中は初めてお会いする大人の方に囲まれることが多いです。そんなとき、研究所の同世代の方との交流は肩の力を抜くことができる貴重な機会でした。皆さんがインターンの「先輩」に相当し、私がインターン中に取り組んでいることを過去に経験されていらっしゃったため、良き相談相手となってくださいました。私もこれからインターンをされる方を歓迎しますし、力になりたいと考えております。研究所でお待ちしております!

 

 

 最後になりましたが、上先生をはじめとする医療ガバナンス研究所の皆様及びインターン中お世話になった皆様に厚く御礼申し上げます。今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

インターン初日の会食にて

研究所にてティータイム

後ろの石垣が高輪大木戸跡

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東京海洋大学 海洋生物資源学科

安永 和矩

海洋大生として医療ガバナンス研究所で学ぶこと

〈1〉医療ガバナンス研究所に来たきっかけ
 私がこの研究所に来たきっかけは、浪人時代にお世話になった代ゼミの藤井先生の紹介です。また、父親も上先生と東大剣道部時代から付き合いがあり、とても優秀な方だから、大学で東京に行くなら是非挨拶にとのことで、伺うようになりました。初めて訪問した日、一緒にお昼ご飯を頂いたのですが、全国各地から集まる優秀な社会人の方と医学部生との交流で圧倒された事を今でも覚えています。この日以来定期的に顔を出させていだくようになりました。

〈2〉インターンを通して学んだこと
現場を見ることの重要性
大学1年時に行った福島でのインターンの際に「現場を観ることの重要性」というものを学びました。この時震災遺構の「荒波小学校」に訪問し、被災地での実状等に触れました。訪問する以前は、テレビ等からの情報のみであったので、どこか他人事のような感覚でいました。しかし、実際に被災地を訪れ、津波の恐怖や当時の緊迫感などを感じ、初めて東日本大震災のことを理解し始めました。また、漁業の復興に関する話しをお聞きしたのですが、国による支援が実際の漁業者が求める支援と乖離しているというようなケースが多かったそうです。このような経験から、実際に現場に足を運び、「本物」を体感することが重要であると感じました。私はこの経験以降、大学での座学的な学びを踏まえた上で、漁業の実際の現場に足を運ぶことを心がけるようになりました。今後も研究と実際の現場の繋がりを意識した上で、研究活動を行っていきたいと思います。

異業種の人との交流の重要性
私は、昨年の12月に現場からの医療改革推進協議会(現場シンポ)に参加させて頂きました。このシンポジウムでは、当然参加者の多くは医療関係者であり、私は完全にお門違いの存在でしたが、水産業と医療における相違点について考えるきっかけになりました。特に印象的であったことは、両者ともに、人手不足や作業の効率化が課題とされる一方で、その対策の一環でもあるICT技術の進捗度合いには大きく差があることです。シンポジウムの際に、医学生に話しを聞いたところ、医療の現場においては、患者さんが目の前にいなくとも、遠隔で手術が可能であるということをお聞きしました。一方で、水産業界においては、AIを用いた養殖の自動管理等も進んではいるものの、現在研究開発段階と行った形のものが多いです。
また、医療関係者のように、普段の生活では接点のない異業種の方との交流によって、新たな視点を得る機会を得ると同時に、医療と水産業の関係性について気づくきっかけとなりました。シンポジウムに参加する前は、医療と水産業はまったく異なる領域だと考えていましたが、実際に参加してみると両者の密接な関わりを知ることができました。例えば、患者の治癒に水産系健康食品が貢献したり、海洋天然物から新薬が開発されたりするなど、両者の連携によって解決可能な問題が多く存在することに気づきました。また、専門分野にとどまらず異業種の方と交流することで、共創の可能性を模索することができるという考え方も身につきました。

 

〈3〉最後に
 このように、インターンを通して現場に足を運ぶことの重要性や医療と水産業の関連性など、新たな発見をすることができました。常に優秀な方々に触発されるような環境に身を置けることは非常に貴重であり、ありがたいことです。また、インターンの中で情報発信の機会も与えていただくなど、さまざまな貴重な経験を積むことができました。今後も、さまざまな人との交流の中で新たな発見を重ねつつ、自己成長につなげていきたいと思います。

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研究所にてシンガポール留学経験を発表

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真鯛養殖で出荷の手伝い

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北海道大学医学部

金田 侑大

北海道から世界へ-医療ガバナンス研究所で磨いた発信する力-

いかに社会との接点を持つか。

 

私が4年間、日本で「医学生」として過ごしてきた結果生まれた疑問だった。実際、医学生は体の外のことを学ぶ機会が殆どない。私は通っている北海道大学では、"新渡戸カレッジ"という学部横断型のグローバル人材育成プログラムに入っているのだが、そこで仲良くなった文学部や教育学部の友達が、次々と世界に飛び出していくのを見て、焦っていた。

 

刑務所でのインターンや礼文島での1ヶ月の遺跡調査など、医学とは関係ないことで、自分ができることは何でもやった。ただ、全てが短期決戦のような感じで、その分野の芯の部分まで、自分の言葉になっていないな、と、そんなモヤモヤを抱えて過ごしていた。

 

そんな時に出会ったのが、上昌広先生だった。

 

「医者は"調べて書く"を一生続けるんだよ。」

 

私が出会ってきた先生の中で、情報発信を医師として当然の仕事と捉える、そんな先生は一人もいなかった。上先生は私の名前をGoogle検索しながら、「"金田侑大"でヒットするページと、"上昌広"でヒットするページ数を調べてみて。それが今の君の発信力だよ。これからの時代は自分の発信力を付けていくように。」と続けた。

 

それからは毎月1本、医療ガバナンス学会が発行するMRICというメールマガジンで、自身の経験を発信するように努めてきた。また、尾崎医師や谷本医師にご指導いただき、2023年は65本(筆頭43、共著22)の論文・論考を世に送り出すことができた。

 

まだまだ未熟ではあるが、少しずつ、自分の言葉で意見をまとめ、発信することができるようになってきたと感じる。このような環境で学ばせていただけてることに感謝ばかりだ。

 

引き続きご指導のほど、何卒よろしくお願いいたします。

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