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Business Journal

理事長 上昌広

Business Journal(2020.08.09)

【連載】「絶望の医療 希望の医療」北半球で日本だけコロナ終息せず…世界と真逆の対策で第二波招いた“感染症ムラ”の病巣

※“感染症ムラ”(医系技官、感染研とその周辺の学者の集団)

「特記すべきは、日本の現状の特異性だ。マスコミは世界各地で感染が拡大しているように報じるが、実はそうではない。真夏の北半球で感染者が増加している先進国は少ない。G7では米国と日本くらいだ。以下の図をご覧いただければ、欧米の主要国がコロナ封じ込めに成功しているのがおわかりいただけるだろう。

なぜ、日本と海外はこんなにも差がついてしまったのだろうか。私は、PCR検査を抑制してきたためだと考えている。

 各国は、感染者を早期に診断し、隔離(自宅やホテルを含む)することに力を入れてきた。日本のやり方は対照的だった。東京・歌舞伎町で感染拡大が確認された後も、厚労省は濃厚接触者探しに明け暮れ、いまだに無症状者を広く検査するように方針転換していない。その間に感染は拡大してしまった。

 世界中が体制整備を急いでいる。日本と同じく感染拡大に悩む米国も例外ではない。ニューヨーク州には750カ所の検査センターが設置され、希望する市民は即日、無料で検査を受けることができる。ニューヨーク州はコロナの抑制に成功している。フランス政府も、すべてのPCR検査を無料とし、処方箋なしで実施できるようにした。

 日本は正反対だ。厚労省も専門家分科会も無症状者を検査対象とすることに否定的だ。7月16日、分科会は無症状の人に対するPCR検査について、感染している可能性が高い人を除き、公費で行う行政検査の対象にしない方針で合意、政府に提言している。

 分科会の委員の中には、PCR検査の必要性を否定する人までいる。岡部信彦・川崎市健康安全研究所所長は「第二波、ワクチンは不明でもPCR検査信仰は消える」とコメントしている。岡部氏は分科会の委員で、元国立感染症研究所の幹部だ。「感染症ムラ」の主要なメンバーの一人である。

 世界でもっとも権威ある科学誌・医学誌と、厚労省や専門家の意見が真っ向から対立している。マスコミは、この状況を国民にわかりやすく伝え、国民が判断するのをサポートしなければならない。

 なぜ感染症ムラが濃厚接触者対策に固執するかも見えてくる。検査を拡大することで、厚労省・感染研を中心とした統制が効かなくなるからだ。

 閉鎖的な集団は必ず衰退する。現状を変えるには、「感染症ムラ」の都合ではなく、国民の視点に立った議論が必要だ。このような議論を突き詰めることこそ、国際的に通用する議論へと発展する。従来型の政治家、官僚、学者、記者クラブには多くの期待はできない。志の人々が立ち上がり、公で議論し、その動きが拡大することを願う。

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