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研究員 宮地貴士

【インタビュー】診療所建設のため秋田大医学部を1年休学-宮地貴士・ザンビア・ブリッジ企画代表に聞く◆Vol.2「医療に関わる自分を客観視できる機会をたくさん得られている」 2022/4/10

「(元財務省事務次官の佐藤慎一さんは)「国家など存在しない。国家とは国民一人一人の集合体であり、共同体として運営されているものでしかない」と。日本人一人一人の税に対する感情を徹底的に理解しようと努めてきた、というお話もうかがいました。ザンビアは他国からの支援に依存しているのではないかという表面的な理屈ばかりで理解しようとしていた私は、ザンビアの人たち一人一人がどういう価値観で生きているのかをもっと勉強しなければいけないと思いました。村に長く滞在するうちに、あちこちにNPOの爪痕のようなものが残っていることにも気づいてきました。外国人がそこを拠点にしていろいろな調査とか実験とかを少しやって、結局どこかに行ってしまう。現地の人たちは、そういう経験をたくさんしてきているんです。

 ザンビアは1964年にイギリス領から独立しましたが、植民地支配から解放されるまでのことや独立後の復興など、チーフが地域のためにどういう貢献をしてきたかといった視点が、私には欠けていました。チーフと会うことができ、信頼関係を築いて協力を得られることになってからは、一気に診療所の建設が進みはじめました。

 私がザンビアで活動してきた中で強く感じたのは、ただ医療資格を持った者や施設が揃ってさえいればいいというものではないということです。特に医療というのは専門知識だけではなく、患者のために尽くそうという高い倫理観が必要です。しかし、医療者が地域住民のために尽くそうと思えるのは、住民自ら医療を支えようとする主体性があってこそだと思うのです。

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