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Japan In-depth

理事長 上昌広

東京大学教養学部事件 2022/8/27

『杉浦君が教養学部と争うことになったのは、教養学部がコロナ感染への救済措置を採らなかったためだ。杉浦君は5月17日、39度の発熱・倦怠感が生じ、近医にてコロナ感染と診断された。丁度、その日は生物実験の授業があった。コロナ流行中、生物実験はオンラインでの受講も認められており、杉浦君は、この方法を選択していた。オンラインでの生物実験では、教員がデータを提供し、学生が解析、考察し、レポートにまとめる。生物実験は必修のため、単位を落とせば、留年となる。数回の欠席は認められるものの、出席・レポート提出が重視される。体調不良のため、5月17日のオンラインでの授業は欠席せざるを得なかったが、この日が期限となる5月10日分のレポートは、前日までに書いていた荒削りのものを、とりあえず提出した。

 では、指導教員は、どう対応したか。この2回の評価を35点満点で0点とした。杉浦君の留年は、この評価で決まったと言っていい。私も、2005〜2016年まで東大医科学研究所の教員を務め、学生を指導した・・・通常、教員は、どんな出来であれ、レポートを提出すれば0点にはしない


 教養学部の問題は、これだけではなかった。・・・問合せを受けた後、その点数をこっそり17点も下げていたのだ。・・・担当教員に初めて問い合わせたのは6月17日だ。つまり、指導教員は、杉浦君の指摘を受け、即座に学生の点数を見直し、成績の取り違えを発見し、「修正」したことになる。


 なぜ、教養学部は7月27日と8月16日で主張を一変させたのだろう。それは、この問題が大事になったからだ。この間・・・東京新聞が報じ・・・文科省で理科3類の同級生と共に記者会見し、多くのマスコミが報じた。

 教養学部の主張が一貫しないのは、これだけではない。同学部は、8月16日の杉浦君への回答で「今回の成績確認申請の結果、17点が加算された学生については、特段の通知を行っていません。」と説明した。これも嘘だった。杉浦君には連絡していないが、もう一人の学生には8月23日に「次の科目で成績訂正がありましたので、UTAS(学内情報システム)にログインの上ご確認ください」と連絡している。

 

 教養学部の対応は不誠実だ。学生が抗議したら減点し、追及されれば、場当たりな言い訳で誤魔化す。こんなことが許されて言い訳がない。


 ・・・今年度の前期末試験から一切の救済措置を中止している。教養学部学生自治会が救済継続を要望したところ、「(保健所が機能不全となり)実質的に学生からの申し出のみによる審査・決定となり、審査の信頼性が担保できない状況となった」と回答している。学生を信じられないと公言する大学は珍しい。

・・・東大が進学選択制度を採用している・・・三年生以降の進学先は、二年生前期までの成績評価に基づいて行われる。進学選択制度は、多くの学生の人生に影響する。もし、点数の取り違えが起こっているなら、過去を検証し、改善策を考えねばならない。ところが、教養学部は、8月19日、東大新聞の取材に答え、「成績評価に疑義があったとしても、単位が認定された学生は訂正の機会が与えられない現行の制度について、教養学部は見直す余地はない」回答した。

これが我が国の最高学府である東大の実態だ。』


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学生の学ぶ場を守ろう! 〜東大はコロナ留年生と対話の場を〜

この署名活動は、コロナ感染学生への対応の見直しと改善の取り組みを、東京大学教養学部・文部科学省にお願いするためのものです。

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