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医療タイムス

研究員 坪倉正治

【コラム】ネット社会、難しい放射線情報の伝達 2023/5/31

『 福島原発事故から12年が過ぎた。…この間、何度も経験してきたことではあるが、「科学的な情報をどう伝えるか?」はこのような問題の解決策ではない。科学的な情報を聞けば納得する人はいるが、それは医療者だったり科学者だったりといった、住民のごく一部だけである。それと同じぐらい、科学的な情報を得れば得るほど、逆に恐怖が増す人もいる。もともと科学やそれに関する情報を信用しないという人もいるし、権威とかオーソリティー自体を強く嫌う人も多くいる。


 インターネットを使うことで、ありとあらゆる種類の情報に曝露される…自分の支持する情報だけを選択的に選ぶことができるようになっている。…このような中、放射線の情報を伝えることはより難しくなっている。科学的な情報をできるだけ記録し、積み重ねていくことにある種の絶望感のようなものを感じることもある。とはいえ、一緒に働く若手も増え、この地域に目を向けてくださる人も多くいる。そして目の前には患者さんと住民がいる。また少し気を取り直し、1歩ずつ進む毎日である。

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