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医療タイムス

理事長 上昌広

【コラム】後手に回る病床確保が、日本のコロナ対策の弱点 2021/9/8

「18年度の経常収益は3725億円で、当期純利益は21億円だ。18年度、JCHOは理事長の尾身茂氏と4人の常任理事が在籍したが、この尾身氏は天下り、2人の常任理事は厚労省の現役出向だ。」

「JCHOや国立病院機構は、都内に複数の病院を運営する。JCHOの場合、5つの病院を保有し、総病床数は1532床だ。国立病院機構の場合、4つの病院で1968床だ。合計すると3500床。ところがJCHO、国立病院機構のコロナ病床は158床、128床で、全体の10.3%、6.5%に過ぎない(表1)。」


「実は、国立病院機構やJCHOが存在するのは、このようなときに対応するためだ。JCHOの設置根拠法の第21条には、以下のような記載がある。

 『厚生労働大臣は、災害が発生し、若しくはまさに発生しようとしている事態又は公衆衛生上重大な危害が生じ、若しくは生じるおそれがある緊急の事態に対処するため必要があると認めるときは、機構に対し、第十三条第一項第一号又は第二号に掲げる業務(これらに附帯する業務を含む。)に関し必要な措置をとることを求めることができる。

2 機構は、厚生労働大臣から前項の規定による求めがあったときは、正当な理由がない限り、その求めに応じなければならない』

 国立病院機構も設置根拠法19条に同様の記載がある。」


 「8月20日、厚労省での閣議後記者会見で、JCHOや国立病院機構に対して法に基づき、患者受け入れ要請をする予定はあるかと聞かれた田村憲久厚労大臣は「感染症法のことか」と聞き返した。

 これは、厚労大臣がJCHOや国病が公衆衛生危機で果たすべき、法的スキームを理解していないことを意味する。これは由々しき事態だ。」


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